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【相続手続き】被相続人の戸籍に「樺太から転籍」と記載されていた

  • 執筆者の写真: 行政書士 平野雅啓
    行政書士 平野雅啓
  • 6月22日
  • 読了時間: 5分

行政書士事務所 オフィスMです。

当事務所では、相続手続きに関する業務も承っております。

「相続手続きのご相談、受付中です」と案内しているオフィスMキャラクターゆり

今回は当事務所で受任した相続手続きに関する業務で、故人(被相続人)の出生からお亡くなりになるまでの一連の戸籍取得と確認と合わせて、法定相続情報一覧図の作成のご依頼をいただいた際の話です。


ご依頼をいただいたのは被相続人の長女の方で、大変ありがたいことに、当事務所の検索結果の口コミを見てお問い合わせ下さったとのことでした。

事務所にお越しいただいてお話を伺うと、ご依頼者様の母親の相続手続きとのことでしたが、父親が数年前に亡くなった時の戸籍の収集が大変だったので、今回は当事務所に戸籍の取得と法定相続情報一覧図の作成を依頼したいとのことでした。


今回の被相続人についてお話を伺ってみると、「旭川で生まれて旭川から出たことがないと聞いています」とのことでしたが、旭川で生まれていてもその時のご両親の本籍が旭川以外にあった場合は、ご両親の本籍があった市町村役場に戸籍を請求しなければなりません。辿っていけばわかることではありますが、戸籍収集にかかりそうな期間を大体予想しておきたいのでそのあたりを聞いてみると「母方の祖父母ですか?聞いたことがないのでわからないです」とのことでしたので「もしお母様のご両親が、他の市町村から旭川に本籍を移していた場合は、そこにも戸籍を請求しなければなりませんので、ちょっと時間がかかるかも知れません」とお断りしておいて、戸籍の収集を始めました。


旭川市役所で戸籍を請求して、記載されている内容を確認していくと、被相続人の方は確かに旭川で出生となっていましたが、出生時の戸籍は樺太にあり、被相続人が生まれた後(昭和25年)に樺太から旭川に転籍していた、ということがわかりました。

「樺太敷香郡敷香町大字上敷香字東二条六丁目十七番地から転籍」「昭和25年9月5日受付」と記載されています。
樺太敷香郡敷香町大字上敷香字東二条六丁目十七番地から転籍」「昭和25年9月5日受付」と記載されています。

出生までの戸籍を辿るには、さらに樺太の戸籍が必要ですが、ご存じのとおり、樺太は現在のサハリン(ロシア)なので存在しません。外務省で以下の旧樺太の地域の戸籍を保管しているようですが、残念ながら今回の敷香町は、該当する場所ではないようです。


  • 大泊郡知床村 戸籍簿 15冊 除籍簿 3冊

  • 大泊郡富内村 戸籍簿 1冊

  • 大泊郡遠淵村 戸籍簿 4冊

  • 敷香郡内路村 戸籍簿 9冊

  • 敷香郡散江村 戸籍簿 4冊

  • 元泊郡元泊村 戸籍簿 8冊


ご依頼者様に「樺太から旭川に転籍してきているようなので、出生までの戸籍を辿ることが出来ないようです。もしかしたら法定相続情報一覧図は出来ないかも知れません」と連絡すると、「あ、そういえば昔、樺太がなんだとか・・・というような話を聞いたことがあるような」というようなことを話してくれて、法定相続情報一覧図はダメだったらそれで良い、と承諾してくれました。


これ以上戸籍を辿ることはできませんが、一応できることはすべてやったことを証明するために、外務省に保管の有無についての照会を行うことにします。


取得した被相続人の戸籍一式とその写し、その他の必用書類を「外務省アジア大洋州局地域政策参事官室外地整理班」あてに送ると、上記以外の戸籍についての照会には、次のような案内の文書が送られてきます。


「旧樺太戸籍原本に関する照会について」という案内文書。実際には日付が入ったものが送られてきます。
「旧樺太戸籍原本に関する照会について」という案内文書。実際には日付が入ったものが送られてきます。

法務局に法定相続情報一覧図を申請してみる

戸籍はこれ以上辿れませんので、あとはもう一点ご依頼をいただいている「法定相続情報一覧図」の申請です。


今回のように「被相続人の出生まで」戸籍を辿れない場合に、法務局は法定相続情報一覧図の申請を受付けてくれるのでしょうか?


ネットで調べてみると、同じように樺太の戸籍を取扱った司法書士さんが、法定相続情報一覧図について「法務局に聞いてもスルーされた」というようなことを書いているネット記事があったり、「多分無理」という記事があったりするので、ダメで元々、作成した申請書とこれまでに取得した戸籍一式、外務省から送られてきた「旧樺太戸籍原本に関する照会について」を持って、直接法務局へ行ってみました。


窓口の担当者に「法定相続情報一覧図の申請なんですが、本籍が樺太から転籍となっていて、出生までの戸籍を辿ることができないのですが・・・」と説明をして、持参した書類一式を渡すと、その場で書類すべてを一通り確認してくれた上で、「なるほど、樺太から転籍していて、これ以上前のものが無い、ということですね。わかりました。こちらで審査して連絡します」との返答があり、とりあえず書類は受け取ってもらえました。


結果

事務所に戻って、どうなるのかと思っていると「法定相続情報一覧図が出来ましたから、取りに来てください。いつ来ますか?」と法務局から連絡がありました。

「審査する」と言っていたので、何日か時間がかかるのではないかと思っていたのですが、なんと、その日のうちにできちゃったようです。


出来上がった法定相続情報一覧図を窓口で受け取る際に、樺太の戸籍が出てきた場合の法定相続情報一覧図の申請についてもっと詳しく聞いてみたかったのですが「はい、こちらです」「はい、ご苦労様」みたいな感じで、質問するヒマもなく渡されて終わってしまったので、こちらで勝手に想像するしかないのですが、今回の被相続人の方は、樺太からの転籍の際には、まだ3歳くらいだったので、それで最後まで戸籍が無くても受付けてもらえたのではないかと思っています。これが、もっと年齢が上だったらどうなるのか。この辺りを聞いてみたかったのですが、残念です。


何にしても、無事に法定相続情報一覧図ができたので、ご依頼者様には大変喜んでいただきました。


オフィスMでは、戸籍の取得や法定相続情報一覧図の作成など、相続に関する手続きを柔軟にサポートしております。


ご相談のみでも対応しておりますので、お気軽にご連絡ください。


相続のご相談を案内しているゆり
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