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【建設業許可申請】他社の代表取締役に自社の取締役を兼任してもらって「経営業務の管理責任者」の要件をクリアできるか?

  • 執筆者の写真: 行政書士 平野雅啓
    行政書士 平野雅啓
  • 4月20日
  • 読了時間: 4分

「自社で経営業務の管理責任者」の要件を満たせない、というご相談

行政書士事務所オフィスMキャラクターゆり

行政書士事務所オフィスMです。

当事務所では各種許認可申請のご依頼をお受けしております。


今回は新規で建設業許可申請をしたいという業者様から、建設業許可の申請要件についてのご相談をお受けした際のことです。


会社へお伺いして、お話を聞いて要件を確認していくと、資金の要件は問題がなく、専任技術者の要件も土木2級を持っている方がいるので大丈夫なようですが、今回のご相談のメインというのは「会社設立から5年経過していないため、社長さんがまだ経営業務の管理責任者の要件を満たすことが出来ないので、他社の代表取締役にうちの会社の取締役を兼任してもらって申請するということはできないだろうか?」ということでした。


複数の会社の取締役を兼任するということは実際によくあることでしょうし、会社法でも複数の会社の取締役を兼任することは禁止されていないようですから、他社の代表取締役を自社の取締役に迎えること自体は、何も問題がないと思われます。

ですが、建設業許可申請での専任技術者と経営業務の管理責任者は「常勤の取締役」ということになっていますので、他社の取締役、特に代表取締役という役職の方が兼任で「常勤の取締役」と認められるのかが問題です。

正直これまでお受けしたことがないご相談内容だったので、その場でお答えすることが出来ませんでした。「今の私の知識ではちょっとすぐにお答えできない内容なので、確認のうえ、改めてお返事させていただきたいと思いますので、少しお時間をいただけますでしょうか」と答えて、確認する時間をいただくことにしました。



振興局に確認してみる

この件に関して上川総合振興局に確認してみたところ次のような回答がありました。


1.代表取締役が非常勤ということは考えられないので、他社の代表取締役との兼任では常勤の取締役とは認められません。


2.代表取締役ではない取締役であった場合でも、他社で常勤の取締役である場合は常勤とは認められない。ただし、代表ではない取締役で非常勤である場合では、代表取締役が作成した「非常勤の取締役であることを証明する書面」を提出してもらえれば認められる。


3.今回のような場合では、迎えようとしているその代表取締役が、その会社の代表取締役を退いて非常勤の取締役になり、新たに代表取締役となった方から「非常勤の取締役である旨の書面」を出してもらえれば認められる。非常勤の取締役である旨の書面は書式がないので、自由に作成してもらって構わない。


つまり「代表取締役」は非常勤ということは考えられないのでダメだけど、代表ではない取締役で、その会社の代表取締役から「この人は非常勤の取締役です」という証明書を貰うことができれば、他社の取締役であっても兼任が可能、ということです。

なお、「取締役の常勤性」は「健康保険証の写し」で確認することになるので、他社の非常勤取締役を迎える場合は自社の健康保険に入っていなければなりませんので、そのあたりもご留意ください、と付け加えて説明がありました。



非常勤取締役であれば申請可能だけど

自社の社長さんや常勤役員の経験年数が足りなくて経営業務の管理責任者の要件を満たせない場合、他社の非常勤取締役であれば自社の常勤取締役として迎えることで要件を満たすことが可能ということがわかりましたが、結局、今回のご相談では「急ぐのであれば、その社長さんが非常勤取締役になり、新たに代表取締役になった方に非常勤の証明書を作成してもらう」か「他に経営業務の管理責任者の要件を満たす人を探して取締役に迎える」または「社長さん自身が経営業務の管理責任者の要件を満たせるまでもう少し待つ」のどちらかになるのではないでしょうか、とお話したところ、お願いしようとしていた社長さんが代表取締役から非常勤の取締役になることは出来ない、ということになったようで、社長さん自身が「5年以上の経験」の要件を満たすまで、あと1年ちょっと待つことになったようです。



今回のように、許可申請の要件を確認していくと、要件を満たせるかの判断が難しくて行政庁に確認しなければならないこともあると思います。当事務所では、必要に応じて行政庁への確認も行いながら、最適な方法をご案内できるよう努めております。

建設業許可の取得をお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。





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