top of page
  • 執筆者の写真行政書士 平野雅啓

エンディングノートと遺言書

こんなご相談をお受けしました。


その方は80代の方で、息子さん娘さんあわせて子供が3人。配偶者は何年も前に他界していて、自分名義の一軒家に一人暮らし。

最近息子さんが「この家の土地は何坪くらいある?」などと財産についていろいろと聞いてくるそうで、息子さんは自分が亡くなった後の相続のことを考えているようだとのこと。


「いろいろ聞いてくるから自分の相続について考えているんだけど、エンディングノートを書いているから大丈夫だよね」と聞かれました。

この「大丈夫」というのは、ご相談者様がお亡くなりになった後の相続で子供同士争いにならないよね、という意味のようでした。エンディングノートに子供たちへのメッセージと一緒に自分の相続についての希望を書いておけば、それを見た子供が親の意思を無視して争いを始めるとは思えない、とお考えなのだろうと思います。


確かにエンディングノートに相続についての希望を書いておけば、ある程度争いを抑止する効果があるかも知れません。

ですが残念なことに、エンディングノートには法的効力がありません。一方で法律に従って作成した遺言書は法的効力があるので財産の分割や方法について遺言書の内容に従わせることができます。


遺言書

エンディングノートと遺言書は役割が違うものです。

エンディングノートは家族へのメッセージや、自分自身のことや自分の希望を伝えたりするもの。遺言書は、遺言者の意思を法的に実現するためのもの。


エンディングノートを書いているのであれば、エンディングノートに家族それぞれへのメッセージと自分の希望を書いておき、この中で遺言書が存在することも明確にしておいて、遺言書で意思を実現させるというのが一番良い方法ではないかと思います。


もちろんこの方にも「エンディングノートを書いて準備しているんでしたら、遺言書も作っておいた方が良いですよ」と伝えましたが「役所かどこかへ行って作ってもらわなきゃならないんでしょ」「作ってもらうと高いんでしょ」といった不安を口にしていました。

確かに公正証書遺言を作るとなると公証人役場へ行かなければなりませんし、公証人と打ち合わせをしたり書類を集めたり証人になる人を探したりの手間に加えて、公証人の手数料などお金もそれなりに必要ですし、士業に作成を依頼するとそれなりのお金がかかります。しかし公正証書遺言は無効になることがほとんどないので、できれば公正証書遺言を作っておけば安心です(証人になれない人が証人になって立ち会っていたなどのことがあれば別ですが)。


「遺言書を作っておくと良いのはわかったけど、公正証書遺言はちょっと敷居が高そう」、という場合は、とりあえず自筆証書遺言を作っておくことをおすすめしています。

自筆証書遺言はお金も手間もかけずに自分一人で作れますし、作った後で状況が変わったり気が変われば簡単に破棄して作り直すことができます。

ただ、せっかく自筆証書遺言を作っても遺言書の要件を欠いていて無効なってしまう可能性があるなどのデメリットがあります。今は書店に行くと「遺言書の作り方」というようなタイトルの、遺言書の作成についての注意点等をわかりやすく説明している本がいろいろとありますので、こういったものを参考にしながら作るのも良いかと思います。


「今から本を読んで勉強するのはちょっと・・・」という方には、作った遺言書を持って行政書士などに相談して内容をチェックしてもらうことをおすすめします。

相談料はかかると思いますが、相談でべらぼうな金額を要求されることはないハズですし、実際にチェックの内容や説明を聞いてみて納得できるものであれば遺言書作成支援業務を依頼してみるのも良いのではないかと思います。


エンディングノートと遺言書は役割が違います。エンディングノートを書いて安心していても、もしかしたらご自身が望まなかった結果になってしまうかも知れません。


当事務所でも遺言書作成についてのご相談や遺言書作成支援業務を承っております。初回ご相談は30分まで無料で承っておりますので、気になった方はお気軽にお問い合わせ下さい。


ホームページは下のリンクからどうぞ。


最新記事

すべて表示

金融機関の相続手続き

故人名義の銀行等の口座を解約して、相続人の口座へ振込する相続手続きはどのような流れでどんな書類を集めれば良いのかなど、いろいろと気になることも多いのではないかと思います。今回はそんな金融機関の相続手続きについて、大まかな流れを書いてみます。...

Comments


bottom of page