相続はある日突然やってくる
自分も経験しましたが、相続はある日突然やってきます。
葬儀費用などで多くのお金が必要になるので、ご遺族としては故人の預金から費用を工面したいところですが、銀行は預金者が死亡したという事実を知ったら、その口座を凍結してしまいます。そのため故人の銀行預金を払戻しするためには、銀行で相続手続をする必要があります。大まかに次のような手続きが必要になります。
1.最初に故人名義の口座がある金融機関へ行き、死亡した旨を伝えて「相続届」などの相続手続に必要な書類一式をもらいます。対応した担当者が書類や手続について説明してくれると思いますので、わからないところはここで聞いておきます。
2.指定された必要書類を収集します。
手続にあたっては、大体次の書類の添付が必要になります(遺言書がない場合です)。
・被相続人(故人)の出生から死亡までの連続した戸籍
・法定相続人全員の戸籍謄本
・法定相続人全員の印鑑証明書
・被相続人の通帳・キャッシュカード
・遺産分割協議書が作成されていれば遺産分割協議書
この他にも銀行が指定した書類があれば用意します。
必要書類の収集とあわせて、銀行からもらってきた相続届の書類にも所定の個所に記入・押印します。相続届の書類一式の必要箇所すべてに記入・押印して添付書類すべての準備ができたら、金融機関の窓口へ提出します。
3.指定された相続人の口座に被相続人(故人)名義の預金が振り込まれます。
銀行の手続きは大体以上のような感じです。
ゆうちょの場合は銀行とちょっと違います。
1.近くの郵便局へ行き口座名義人が死亡した旨を申し出ると「相続確認表」をくれるので、必要事項を記入して近くの郵便局へ提出します。
2.相続確認表を提出して1週間から2週間くらいで必要書類の案内が届くので、案内に従って必要箇所の記入・押印とあわせて手続に必要な書類を準備します。
3.「相続確認表を提出した郵便局の窓口」に準備した書類を提出します。
4.相続人のゆうちょ口座へ入金されるか、ゆうちょ口座がない場合や希望した場合は郵便局で換金する払戻証書が簡易書留で郵送されてくる。
というような流れになります。
死亡届を出したら口座が凍結される?
ところで、「死亡届を出したら口座が凍結される」というような情報がWEB上にあったりするので、「死亡届を出したら役所から銀行に連絡が行く」と思っている方もいらっしゃるようですが、役所が銀行に連絡することはありません。
それでは、金融機関が預金者の死亡をどうやって知るかですが、基本的には親族が申し出ない限り金融機関はわかりません(小さな町で、町内みんな顔見知りという状態だとか、町内会で「〇〇さんがお亡くなりになりました」というお知らせが回ったりとか、取引のある金融機関の方がお通夜にきていたりとかだと話は別です)。
暗証番号を知っていればキャッシュカードを使ってATMで預金を引き出すことが可能です。実際にこうしてお金を引き出しているご遺族も多いらしいです(自分のところでも葬式代やら四十九日の費用を出すためにやっていました)。しかし、額は少なくても遺産には変わりませんので、相続人全員が合意しなければ勝手に処分できません。暗証番号を知っているからといって勝手にお金を引き出していると、バレたときに「泥棒!」「使い込みだ!」などと言われて相続人同士のトラブルになる可能性がありますので、「葬儀費用を工面する」など、予め引き出すことを相続人全員に話した上でみんなが納得できるものだけにした方が良さそうです。