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  • 執筆者の写真行政書士 平野雅啓

金融機関の相続手続き

更新日:2月14日


故人名義の銀行等の口座を解約して、相続人の口座へ振込する相続手続きはどのような流れでどんな書類を集めれば良いのかなど、いろいろと気になることも多いのではないかと思います。今回はそんな金融機関の相続手続きについて、大まかな流れを書いてみます。

 

ところで、「役所に死亡届を出したら銀行に連絡が行って口座が凍結される」といわれたりしますが、実際のところ役所はそのような個人の情報を金融機関に連絡することはありません。金融機関が死亡の事実を知って口座を凍結するのは基本的には親族から申出があったときです。実際当事務所で受任した相続手続き業務でも、被相続人がお亡くなりになってから何年も電話代や電気代、水道料などが被相続人名義の口座から引き落としされていました。

「じゃあ、知らないうちに口座が凍結されていたという場合には?」この場合には他の相続人が銀行に問い合わせたりしたことにより、銀行が死亡の事実を知って凍結されることがあるようです。その他、例えば農協とか信金の担当者が営業か何かで訪問した時に死亡の事実を知って凍結される場合もあるようです。

つまり銀行が死亡の事実を知らない間は口座は凍結されませんので、キャッシュカードがあって暗証番号を知っていればATMから故人のお金を引き出すことは可能ですし、実際にやっている方も少なくないようです。ただし、他の相続人から「勝手に使った!」などと言われてトラブルになる可能性があるのであまりおすすめはできません。


ところで、改正された相続法が施行されて2019年7月1日から遺産分割協議前でも法定相続分の3分の1(上限は150万円)まで引き出せるようになりました。葬儀費用とか当座の生活費などで大変な思いをした方もいらっしゃるのではないかと思いますが、この制度を使えば特にお葬式代は助かるのではないでしょうか。

 

1.手続の前に確認


相続手続をする前に故人の口座から引き落としされているものがないか確認します。口座が凍結されると引き落としもできなくなるので、相続手続きを行う前に必ず引き落とされているものがないか確認しておかないと、同居の親族などがいた場合に困ったことになってしまいます。例えば電気・ガス・水道の料金、電話代とか、通帳を見ると引き落としされているものがわかると思いますので、それぞれ連絡先を調べて解約手続きや必要であれば名義変更の手続き、口座が凍結された後の支払い方法などを確認しておきましょう。

 

2.銀行へ


銀行等の窓口に行って被相続人が亡くなったことを申し出ると、申請書の書き方や手続に必要な書類を教えてくれます。銀行には直接行っても問題はありませんが、行く前に電話で要件を伝えてから行くと待たされる時間が少なくて済むかと思います。

 

3.書類の準備


必要な書類は銀行によって異なる場合がありますので、詳しくは手続きされる銀行等にお問い合わせいただきたいと思いますが、ほとんどの銀行等で要求される書類は次の通りです。


・銀行所定の申請書

「相続届出書」とか銀行等によって呼び方が違うかも知れませんが、各銀行等で用意している所定の用紙があります。この用紙に相続人全員の署名と実印の押印を求められます。

委任状も兼ねている様式のものでは、実際に手続きを行う相続人の名前を記入することで、この方が相続人代表者として手続きを進めることができます。


・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

相続人を確定するために、被相続人(故人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要になります。

まず最初に被相続人の死亡の記載がある現在の戸籍謄本を取得し、そこから戸籍の記載を辿って行きます。婚姻とか転籍があれば、婚姻前、転籍前の本籍地の謄本も必要です。


・相続人全員の戸籍謄本

相続人全員の戸籍謄本が必要ですが、相続人が被相続人(故人)と同じ戸籍に入っている場合は改めて取得する必要はありません。


・相続人全員の印鑑証明書

最初の「銀行所定の申請書」には実印の押印が求められます。そのため相続人全員の印鑑証明書の添付が求められます。銀行等によって違いがあるかも知れませんが、多くの場合発行から3カ月以内のものと言われたりします。印鑑登録をしていない方は印鑑登録をする必要があります。


・遺産分割協議書、遺言書がある場合は遺言書

遺産分割協議書が必要かどうかは手続きの内容や銀行等によって異なる場合がありますので、詳しくは実際に手続きをされる銀行等にお問い合わせ下さい。なお、銀行での相続手続きに必要がない場合でも、不動産の相続登記に必要ですし後々の相続人間のトラブルを防止するために遺産分割協議書は作成しておいた方がよろしいかと思います。

遺言書がある場合は遺言書が必要です。自筆証書遺言で法務局の遺言書保管を利用していない場合は家庭裁判所の検認を証明する検認済み証明書とか遺言書検認調書が必要になります。


・被相続人名義の通帳とキャッシュカード

必要書類と一緒に通帳やキャッシュカードも提出しますが、もしキャッシュカードが見当たらなくても手続きしてくれるところがほとんどだと思います。銀行によっては「キャッシュカードはご自身で処分して下さい」というところもあるようですので、詳しいところは手続きされる銀行等にお問い合わせ下さい。


・相続人の通帳の写し

解約した預金の払い戻しを振込で受け取る場合、受け取りを希望する口座の通帳の見開き(金融機関名、口座番号、口座名義人の記載がある部分)のコピーを用意します。

なお、振り込みで受け取る場合は、振込手数料が引かれた金額が振り込みされます。

 

4.再度銀行へ


必要な書類がすべて揃ったら、再度銀行へ行って書類を提出します。

書類の確認に時間がかかる(1時間半くらいかかる場合もあります)ので、行く前に電話で相続関係の書類を持参する旨を伝えてから行くと、少しでも待ち時間を短くできるかと思います。

書類の確認が終わったらいろいろと記入する書類を持ってくると思いますので、担当者の言う通りに記入していきます。


窓口での手続きがすべて終わったら、後は振り込まれるのを待つだけです。お疲れさまでした。


なお、提出した戸籍謄本や印鑑証明書等は、コピーを取ったら原本は返してくれます。

 

5.再度確認!


・被相続人の戸籍謄本は連続していますか?

被相続人の戸籍謄本は出生からお亡くなりになるまで連続していますか?

足りない状態で窓口に持って行っても受け付けてくれませんので、二度手間、三度手間になってしまいます。

被相続人が転籍や分籍をしている場合はそれぞれ転籍前や分籍前の戸籍謄本が必要ですし、婚姻している場合は婚姻前の戸籍謄本が必要です。被相続人の前の本籍地が遠いと戸籍謄本の取得にも手間と時間がかかります。おまけに手書きの改製原戸籍や除籍謄本は見たことない字体で書いてあったり、字があまり上手じゃなかったりして読み難いものが多いので辿るのが大変です。

二度手間にならないよう、被相続人の戸籍謄本はよく確認しましょう。


「なんだか大変そう」とか「忙しくてなかなか時間がないなぁ」という方は、お金はかかってしまいますが専門家に任せてしまうのも方法です。


当事務所でも、書類の取得代行から相続手続一式までご要望に応じて承っておりますので、気になった方はぜひお問い合わせ下さい。


 

各銀行等によって手続きや必要とされる書類が異なる場合がありますので、詳しいことは実際に手続きされる銀行等にお問い合わせ下さい。


相続手続きの大体の流れを書いてみましたが、いかがでしたでしょうか?

「わかりにくい」「説明の仕方が悪い」など、ご意見がありましたらお知らせ下されば幸いです。今後の参考にさせていただきたいと思います。


行政書士事務所オフィスM 行政書士 平野

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