現に警備業務に従事させている警備員に対する教育(現任教育)は「毎年度」、基本教育と業務別教育合わせて10時間以上(又は業務別教育6時間以上)実施しなければならないことになっていますが、「毎年度」いつまでに終わらせれば良いのか明確ではありません。現任教育はいつまでに終わらせれば良いのでしょうか。
警備業法施行規則
第38条
5 現に警備業務に従事させている警備員(合格証明書(国家公安委員会が定めるものに限る。)の交付を受けている警備員で当該合格証明書に係る種別の警備業務に従事させているもの及び指導教育責任者資格者証の交付を受けている警備員で当該指導教育責任者資格者証に係る警備業務の区分の警備業務に従事させているものを除く。)に対する教育は、次の表の上欄に掲げる警備員の区分に応じ、同表の中欄に掲げる教育の種類について、毎年度、同表の下欄に掲げる教育時間数以上行うものとする。
(以下省略)
以前、旭川方面公安委員会にこの件に関して確認してみたところ次のような回答でした。
現任教育についての旭川方面公安委員会からの回答
・現任警備員教育は、その年度に警備員を警備業務に従事させるための教育なので、新年度になったらすぐに実施するのが望ましい。
・年度が変わったら速やかに現任教育を終わらせるようにして、できれば4月中に終わらせるのが望ましいが、警備業者さんの都合に合わせて4月と5月というように複数月に分けても良い。実施時間については、頑張って一日で10時間終わらせても良いし、無理のない時間数に分けて実施しても良いが、6月か遅くとも7月には10時間以上終わらせるようにして、年度末近くになっても「まだやっていない」とか「終わっていない」という事は無いようにしてください。
文言上は「毎年度」定められた時間数以上実施すれば良いので、例えば「上期・下期」とか、以前のように「前期・後期」にそれぞれ5時間ずつ、合計で10時間行うのも警備業者の任意で良さそうな気もしますが、現任教育は「その年度に警備員を警備業務に従事させるための教育」という公安委員会の考え方では、これは適切ではなさそうです。
新たに警備業務に従事させようとする警備員の場合、教育免除の要件に該当しなければ最大20時間以上の新任警備員教育を行わなければ警備業務に従事させてはいけないのと同様に、現に警備業務に従事させている警備員に対しても、年度が変わったら現任教育を行わなければ警備業務に従事させてはいけないというのが本来の趣旨ということになるでしょうが、それでは警備業者の営業に支障が出るのが目に見えていますので、そのあたりの事情を考慮して「新年度になったらすぐに実施するのが望ましい」という緩やかな言い方になっていると考えられます。
ということは、年度が変わって何カ月も経っているのに現任教育をやっていない、又は定められた時間数の教育を終えていない場合では「現任教育が終了していない警備員を警備業務に従事させている」と判断されてしまう可能性があるかも知れません。年度末の3月に現任教育をやっている警備業者さんもあるようですが、年度末の実施は公安委員会の考え方に沿わないものだと思われます(というより「年度末になっても終わっていないということが無いようにしてください」との回答でした)。これだけをもってすぐに教育懈怠等で行政処分があるとは思いませんが、要らない指摘や指導をもらわないためには、新年度になったら出来る限り速やかに現任教育をやってしまうのが良さそうです。
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