旭川では姿を見ることがなくなってしまいましたが、駐車監視員(通称「緑のオジサン」といわれるようです)についてどんな印象をお持ちですか?
「市民の敵」ですか?中には「俺もやってみたいんだ」という人もいましたが、駐車監視員に良い印象を持っている方はあまりいないのかも知れません。
行政書士になる前年まで駐車監視員として約4年間勤務していました。正直言って、駐車監視員という仕事はいい仕事じゃないです。
標章を貼られた車の運転手に文句を言われるのは、やられた側の感情からすると、ある程度は仕方ないと思います。貼られたら文句の一つも言いたくなるのはよくわかります。しかし、これだけじゃ済まないんです。通りすがりの一般市民に罵声を浴びせられるのはよくあることで、時には物を投げつけられたり、確認作業をしているところへ近づいてきた人に「てめーら、このままただで済むと思ってんじゃねーぞ」という脅しともとれるようなことを言われたこともあります。
おそらく過去に駐車違反でやられた人たちでしょう。しかし、駐車監視員も法律で定められた正当な業務活動をしているわけですから。駐車監視員の制度対してとか、とんでもないやり方をしている駐車監視員に対して言うならわかりますが、個々の監視員に全く関係のない罵声を浴びせたりして攻撃するのは何か間違っていると思うんですが。
駐車監視員の心得に「誇りをもって」などという文言がありましたが、毎日のように文句を言われる仕事に「誇り」や「やりがい」を持つというのは、なかなか難しいことです。頑張ってたくさん標章を取り付けても、喜ぶのは警察と警察に評価される会社だけ。標章を貼られて「貼ってくれてありがとう!」と言って喜ぶ運転手はいませんから。もちろん、この仕事を通して違法駐車を少しでも減らすことで交通の円滑に寄与するものであるということは十分わかっていましたが、毎日のように冷たい視線を浴びるのは、やはり精神的によろしくないものです。
それにしても、いろいろな人がいます。
両手にレジ袋を提げてやってきて「今ちょっとトイレに行っていたところなのに」という人もいれば、ラーメン屋から爪楊枝をくわえて出てきて「金を払ってただけだぞ」という人、「まだ30分くらいしか停めてないよ!」と怒り出す人とか「お前、俺が車から降りるのを見張っててやっただろう!」と怒り狂う人とか。そんな事実は一切ありませんと言っても「いや、お前らはやり方が汚い!」と言って聞いてくれませんので困りました。
ところで、標章を取り付けた後に運転手さんが戻ってきたときには、その後の手続きを説明するんですが、みなさん文句はガンガン言ってくるけど、こちらの話は全く聞いてくれないものですから、損している方もいたのではないかと思います。
標章を付けられた場合、警察署とか交番へ出頭すると、出頭した人には切符と反則金の納付書が渡されていわゆる違反点数が付きます。しかし、標章の裏面に細かい字で書いてあるんですが(読む人はまずいませんし、説明しても聞く耳もってもらえませんでしたが)警察へ出頭せずにそのまま黙って放置しておくと、車の使用者の住所に約1カ月くらいで公安委員会から書類が届きます。ここで弁明書の提出の機会が与えられるんですが、弁明書を提出したとしても覆ることはほぼありませんので諦めた方がいいかと。それよりも重要なのは、ここで違反金を納付すれば手続きは終わりで、違反点数は付かないんです。お金は同じ金額を納めなければなりませんけど、免許の点数はお金じゃ買えませんからね。
何にしても駐車禁止場所に放置駐車しないで、ちょっとくらい手間と駐車料金がかかっても駐車場に入れるのが一番。そしてもし貼られてしまったら、書類が届くのを待つ方が良いと思います。
ところで、負傷者の救護とか急病人の搬送で本当に緊急でやむを得ないと認められる事情があった場合にまで責任を追及するのは適当ではありませんので、そのような本当に緊急でやむを得ない事情があったということを証明することができる証拠がある方は、その証拠とともに弁明書を提出してみるのが良いかと思います。
しかし、判断するのはあくまで警察なので「お前が言ったからやってみたけどダメだったじゃないか!」と怒られても、当方では一切責任をもてませんので、そこのところはご容赦ください。
ちなみに行政書士はこのような不利益処分の手続について、本人に代わって手続することができますので、特別な事情があったという方は行政書士に相談してみてはいかがでしょうか。
最後はちょっと行政書士の宣伝でした。